画面オフ・モダンスタンバイ・休止状態
最近、新しい PC を入手した。
新しいスリープ「モダンスタンバイ」とは!?
この Windows 10 タブレットは、シャットダウンメニューから「スリープ」を選択すると、スリープ状態に移行する。しかし、スリープ状態なのに、USB デバイスへの給電が行われっぱなしのままになっている。
この状態は、現代的なスリープの形態であり、様々な名称で呼ばれている。
- モダン スタンバイ
- コネクト スタンバイ
- InstantGo
- S0ix
この記事では「モダンスタンバイ」と呼ぶ。
画面オフAPIがなぜかモダンスタンバイを引き起こす
モダンスタンバイに移行する方法は、現段階で 4 つあることが分かっている。
- シャットダウンメニューから「スリープ」を選択する
- 電源の設定で、「電源ボタンを押すとスリープする」に設定している状態で、電源ボタンを押す
- 電源の設定で、設定した「自動的にスリープになる時間」に到達する
- 画面をオフにする Windows API
SendNotifyMessage(HWND_BROADCAST, WM_SYSCOMMAND, SC_MONITORPOWER, 2)
を呼ぶ
重要なのは、4 つ目である。画面オフを PC に命令しているだけなのに、モダンスタンバイになってしまうのだ。
なんでやねーん
モダンスタンバイは、ほぼ「画面をオフにしているだけ」の状態に等しい。なので、画面をオフにしたいだけのつもりでモダンスタンバイにするのは、望み通りの挙動とも言えるが、「画面オフ」と「モダンスタンバイ」の間には、決定的な違いがある。それは、モダンスタンバイから復帰後に、ログインパスワードを求められるということだ。スリープ復帰後にログインパスワードを求められるように設定しているからこそ、こういうことには当然なるのだが、「画面オフ」API を呼ぶことによって単純に「画面オフ」になってくれさえすれば、このような「ん?」と引っかかる状況にはならない。
望むことは一つ、画面オフ API を呼んだら、モダンスタンバイにはならず、画面オフになってくれ。
画面だけオフにしたいのに……(´・ω・`)
画面オフ状態に移行する方法は、現段階で 1 つあることが分かっている。
- 電源の設定で、設定した「自動的に画面オフになる時間」に到達する
手動で画面オフは不可能である。
モダンスタンバイ中、なぜか勝手に休止状態になる
さて、PC をモダンスタンバイ状態にしていると、一時間ほど経過して、自動で休止状態に移行してしまう。これは "Adaptive Hibernate" と呼ばれている。
させない方法がある!
"Adaptive Hibernate" を制御する方法の一つに、電源の設定には通常現れない、隠し設定を表示して設定するというものがある。
すなわち、レジストリ コンピューター\HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Power\PowerSettings\8619B916-E004-4dd8-9B66-DAE86F806698\9FE527BE-1B70-48DA-930D-7BCF17B44990
キーの値 Attributes
(REG_DWORD) を 0x2
に変更する。
regedit.exe で上記を行った後、電源の設定で電源オプションを開くと、「プレゼンス認識電源動作」という "Adaptive Hibernate" 関係のカテゴリが追加されているのが確認できる。その中の唯一の項目「スタンバイ割り当て率」で、モダンスタンバイ状態でどれだけバッテリを消費していいかの率を定められる。デフォルトでは 5%
であり、モダンスタンバイ中にバッテリが 5% 消費されると、自動で休止状態に移行する。時間に換算すると、うちの環境では一時間前後だ。
やったぜ
「スタンバイ割り当て率」を 0%
に変更すると、モダンスタンバイ中に自動で休止状態へ移行することが行われなくなるはずである。検証中だ。
ちなみに
ところで、スリープする Windows API の SetSuspendState(FALSE, FALSE, FALSE);
というコードを実行すると、モダンスタンバイにはならず、なんと休止状態に移行する。
ありがとう World Wide Web
- Windows 10 Anniversary Update (Redstone 1)でのモダンスタンバイの挙動 - らどこの消費生活 続き http://ladoco.hatenablog.com/entry/2016/08/04/181648
- 窓のくすり箱 Adaptive Hibernate の制御(プレゼンス認識電源動作) http://winkit.blog.fc2.com/blog-entry-21.html
フルスクリーンお絵かきソフト fulldraw v0.7.5 公開中
最近(2017年-2018年)、また自作のフリーソフトを製作した。製作期間は一年間で、ようやく、いい具合の完成度に到達した。ぜひ使ってみてほしいので、この宣伝記事を書くことにした。
紹介
全画面(フルスクリーン)でお絵かきできる Windows 10 用のアプリケーションだ。
その名も fulldraw だ。("fullscreen drawer" の略). 軽量(18.5KB)・軽快。
ダウンロード
以下のサイト(GitHub)からダウンロードできる。
補足
上記サイトの fulldraw.v0.7.5.zip
というリンクをクリックする。
あるいは、直接、ダウンロード URL https://github.com/0mg/fulldraw/releases/download/v0.7.5/fulldraw.v0.7.5.zip
で取得できる。
特徴
- 無料で使用できる。(ただし何が起きても自己責任)
- ソフトを終了するには、キーボードの Esc ボタンを押す。
- または、右クリックメニューから「終了」を選択する。
- fulldraw は、ワコムのペンタブの筆圧を検知し、応じて、線の大きさが変わるようにしてある。
- 線の大きさや筆圧感度の調整はキーボードの上下左右(↑,↓,←,→)で行う。
- このソフトは起動中、全画面(フルスクリーン)で表示される。画面の全てがキャンバスであり、広くも狭くもならない。
- 背景は真っ白で、カーソル以外は何も表示されない。集中できる。黒い線を引くことができる。
- 描いた絵は PNG 形式の画像として保存できる。
その他
- Windows 8, 8.1 でも、もしかすると動くかもしれない。
- Windows Vista, 7 では、間違いなく動かないだろう。
- ワコム以外のペンタブでもうまく動作する可能性がある。
- 可能な操作は、全て、右クリックメニューの項目にある。
- 参考リンク: Windows apps - 0mg
アニメ「シュタインズ・ゲート」感想
2017年8月某日に書いたものである。
観るきっかけ
アニメ「シュタインズ・ゲート」を観た。
最初にこの作品の名前を聞いたのは、とあるニコ生主によるダークソウル3実況プレイ中の雑談でだ。その人が、おもしろいと言っていたので、気にはなっていた。次に聞いたのは、数か月後、漫画家の大井昌和さんのコミックガタリーという放送で、漫画を描いている間、エンドレスリピートで観ていると言っていて、より気になり始めた。
さらに数か月後、ある日、アマゾンプライムの動画一覧に、存在しているのを見つけた。しかし、この時点では、そもそもアニメを観たい気分にはなかった。しかしながら、時間はあったので、観てみることにした。
前半
この作品は、大きく分けて、前半と後半に分かれる。前半はつまらない。たとえば、SHIROBAKO という作品は、冒頭の10分くらい、女の子たちが集まってワイワイやっていて、「これを観ても自分は何も得ることはないだろう」としか思えない。ただし、それは冒頭の10分くらいに限られていて、それを除けば、ひたすらにおもしろい。
シュタインズ・ゲートもこの手の構成で、しかし、つまらないのは冒頭10分などという短い間に限ることはなく、前半の 1話~12話 くらいまでは 8 割方きつい。まず、主人公が自らを中二病と言っていて、架空の通話相手と通話をよくする。仰々しい物言いや、終始演技のように振る舞っていて、本質から逃げつづけているかのようだ。そもそも中二病というネットスラングだったり、その他、2ちゃんねる的な掲示板が出てきたり して、作品内がネット臭く、この時点で、もう嫌な感じだ。
突然、大きな音がして、人が血を流して倒れている。主人公は、建物から出る。眩暈のような演出が入る。何かおもしろいものが始まるかと思いきや、何事もなかったかのように、日常に戻る。主人公の人格には難があるが、性根は非常に良い人で、人間関係には恵まれている。女A, 女B, 女C, 女D と、何人かの女と仲良くしているシーンが次々に流れる。こういうのをギャルゲー的とかハーレムとか言うのだろう。
ここまで観て、これおもしろいか? これからおもしろくなるのか? 自分には合わないんじゃないだろうかと不安でしかなくなるのだが、実は、この設定こそが、重大な伏線である。この嫌になるほど平和でつまらない世界を、後半を楽しむためには必ず知っておかなくてはならない。現実では誰も体験したことのない、しかし、条件が揃えば起こりうる現実的な恐怖を味わうために。
主人公は研究をしていて、偶然にも、時空を操作できる電子レンジを発明してしまう。この辺りで、ようやくおもしろくなってくるかと思いきや、これもまだ序の口であり、話の主要な部分がなかなか進まない。電子レンジを応用して、過去にメールを送ることに成功する。これによって、宝くじを云々したり、男だったキャラを女に改変したりする。ここまでは普通の過去改変で、特におもしろいところはない。過去を改変したことはいいが、改変したという記憶を主人公以外が保持していないのが恐ろしいところだ。かつて男だった女キャラに対して、主人公は「お前は男だった」と告げるが、当人を含め周囲の人間の誰もが、「いくら冗談でもそこまでひどいことを言うもんじゃあない」という反応しかしない。過去改変後の現在において、そのキャラは最初から女だということになっており、かつて男だったと知っているのは主人公だけなのだ。
主人公の中では、相手とのふれあいが、本物の記憶として残っているのに、相手は覚えていないし、地球上・宇宙上で誰一人として知っている者はいない。これほどの孤独・恐怖があるだろうか。
かつて男だった女キャラは、最初から、男の娘として描かれており、いわゆる萌えキャラという位置付けで、そういう、下心のみによって生成されたキャラが嫌いだから、登場時点で、こんなキャラ不要だろ、どういう意味もねえんだろどうせ、としか思わず観ていたが、こうなってくると、味わいが出てくる。
後半
前半の重要部分はそれくらいで、あとは、オタクの街・秋葉原が、そうでない街になるような過去改変が行われ、それを知っているのは主人公のみ、といった、同じ種類の恐怖が繰り返される。それ以外は、おおよそ平和な日常ではあるので、前半はわりと退屈だった。
後半と呼ぶべき展開は、話数的にも約半分の時点で始まる。過去にメールを送るだけではなく、人間が過去に行けるようなマシンが出来上がりそうな段階で、主人公の幼馴染である弱弱しいキャラが、銃殺されてしまう。この時まで、作中で暴力的なシーンが全くといっていいほど無かった中、主人公の目の前で、この唐突で衝撃度最大の事件が起こる。半ば眠くてだるくなるくらいの前半は前振りであって、ここからシュタインズ・ゲートの真髄が幕を開ける。なぜ、殺されてしまったのか。なぜ、あの人物が発砲したのか。説明はなく、推測の困難な突拍子もない展開だ。
ここから、主人公は、タイムリープを使って、幼馴染が殺されないような過去改変を幾度となく繰り返すことになる。何度やっても、どう改変しても、殺されてしまう。この辺りで、幼馴染がどういう人物だったかが説明される。幼い頃に両親を失ったというような過去を持っていて、そのせいで、時折どこか遠くへ消えてしまいそうだったという主人公の回想が入る。唯一、幼馴染の精神を主人公だけが守りつづけてきたのだ。そんな主人公自身も、似たような過去を持っていて、深い悲しみをかばうような意味で中二病的な、全てを茶化したような振る舞いをやめられないのだ。こうなってくると、あのウザかった人格に憐れみを持たざるを得ない。そして、幼馴染を救うために何度も諦めず継続してトライする姿がとてもかっこいいのだ。
おまけ
ここからは、約一年後、2018年4月某日に書いたものである。
この作品は、一言で言ってしまえば、前半はつまらないがしかし重要で、後半はおもしろい。時間を行き来する SF 的な興奮、大切な人を失わないために孤独に戦い続ける主人公、終わらない過酷な日々が続くからこそ、うざかったキャラも平和で退屈だった日々も愛おしく思えてくる。
途中、未来からやって来た人物が、タイムマシンで別の時代へと移動することになる。ここで事故が発生するのだが、広瀬正の小説「マイナス・ゼロ」に出てくる事故と同様のものである。きっと元ネタなのだろう。
続編
最近、この作品のほぼ続編と言っていい設定の新しいアニメ「シュタインズ・ゲート ゼロ」が放送開始された。1話を観たが、不穏なものだ。主人公に平和はない。前作で大切な人の死を何度も経験し、精神を患っている。前作の構成は、前半に視聴を中断したくなるようなものだったが、今作は始めから緊張感が高く、楽しく観られた。