子どもの時間

公園を歩いていた。子どもが「こんにちは」と言ってきた。「こんにちは」と返した。煙草を吸っていた。景色を見ていた。さっきの子が、ミニ二輪車で帰ってきた。僕の顔を見て、何か言ってほしいようだった。「上手?」と訊いてきた。「上手」と返した。慣れていない様子で、円柱に立て掛けた。ベンチの隣に登ってきた。漫然と動いていた。

"事案"という言葉が思い浮かぶ。見知らぬ大人が子どもに声をかける、ただそれだけで、警察に通報され、報道されることがある昨今だ。無視していた。煙草を吸い終えた。子どもは、遠くの親元へと走って行った。立ち上がり、逃げるようにして歩いていく。

「また明日遊ぼう」

張りのある、元気な声だった。振り返り、手を振った。子どもは、別の方に振り向く瞬間だった。

"また"、"遊ぼう"。

子どもとのやり取りは、二三言で、ほんの二十秒足らずだった。

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